精神保健福祉士

福祉・介護の資格ガイド

●仕事の内容について

精神保健福祉士は、以前は「ソーシャルワーカー(PSW)」の名称で、精神科医療機関を中心に医療チームの一員として導入され相談業務にあたっていましたが、1998年4月から国家資格として、精神保健福祉士の制度がスタートしました。

精神保健福祉士は、精神障害者の保健や福祉についての専門知識・技術に基づき、精神障害者の社会復帰についての相談や援助を行なう専門職です。

精神科病院・診療所や総合病院などに勤務する場合は相談室などの相談活動が中心になります。

相談内容は、受診や入院に関わることから、療養中の経済的な問題や心配事、社会復帰に関することまで、多岐にわたります。

障害者やその家族とのコミュニケーションを通して、その人の問題解決のための支援や援助を行なうのが仕事です。

医師や看護師スタッフ、リハビリスッタフや作業療法士などのチームの一員として、現場のスタッフとの連携も大切です。

また、デイケアなどの場合は、グループワーカーとして利用者とともに活動します。

そして、グループホームや各種施設などでは、利用者や入居者の主体性を尊重し、生活全般にわたって支援をします。

また、精神保健福祉士は利用者のごくプライベートな相談事にものる職業なので、高い人権意識が求められます。

なお、精神保健福祉士は医療職ではありませんので、医師の指示によって業務を行なうものではありません。

ただし、「主治医がいれば、その指導を受けること」も義務として定められています。

つまり、主治医の意見を聞き、指導を受けますが、精神保健福祉士として独自の専門的な視点に基づく判断と、それによる支援を行なう職種となります。

また、病院の外の他機関との連携による援助活動を展開する視点も必要な職業です。

●職場の状況について

職場には、医療分野と社会福祉分野があります。

医療分野では、精神科病院・診療所や総合病院など、福祉分野では、障害者更生施設や精神障害者生活訓練施設、障害者授産施設、福祉ホーム、グループホーム、ケアホーム地域活動支援センター、小規模作業所、自立訓練施設などや福祉事務所、精神保健福祉センター、自治体、保健所などの福祉行政機関、また、近年広がってきた分野では、保護観察所や矯正施設の司法施設や介護保険関連施設、社会福祉協議会、ハローワーク、教育機関、一般企業などです。

●雇用形態と初任給について

雇用形態は常勤職員が多いようですが、職場によっては非常勤職員として勤務するケースもあります。

初任給の目安は、病院などの場合は、おおよそ16万円~20万円程度です。

また、夜勤や宿直などがある場合には手当がつきます。

また、資格手当制度のあるところもあります。

●この資格の将来性について

高ストレス社会といわれる現代にあって、人々の精神保健保持を手助けするために、医療、保健、福祉の領域で活躍する、精神保健福祉士の役割は、今後、ますます重要になってきています。

精神障害を持つ人やその家族の生活上の悩みの相談にのり、社会復帰するための助言や指導を行なうだけでなく、日常生活への適応に必要な訓練の実施、関係機関との連絡調整、各種給付制度の案内など、その職域は日増しに広がる傾向にあり、福祉分野だけでなく、心のケアを必要とする人々が増え続けています。

この職業の重要性や需要度は高まる一方です。

●精神保健福祉士になるためには?

国家資格の取得が必要です。国家試験の受験には、保健福祉系大学で指定科目を履修して卒業するか、最終学歴に応じて所定の実務経験や指定の養成施設で学び修了しなければなりません。

また通信教育課程を開設する学校も増えています。

◎試験資格者の資格取得のルート

①4年制福祉系大学で指定科目を履修し卒業した者

②3年制福祉系短大で指定科目を履修し卒業後、相談援助の実務経験1年以上の者

③2年制福祉系短大で指定科目を履修し卒業後、相談援助の実務経験2年以上の者

④4年制福祉系大学で基礎科目を履修して卒業後、精神保健福祉士短期養成施設等で6ヵ月以上の養成を修了した者

⑤3年制福祉系短大で基礎科目を履修して卒業後、相談援助の実務経験1年以上で、精神保健福祉士短期養成施設等の6ヵ月以上の養成を修了した者

⑥2年制福祉系短大で基礎科目を履修して卒業後、相談援助の実務経験2年以上で、精神保健福祉士短期養成施設等の6ヵ月以上の養成を修了した者

⑦社会福祉士登録者で精神保健福祉士短期養成施設等の6ヵ月以上の養成を修了した者(受験申込み時申請すれば試験科目⑥から⑯が免除)

⑧4年制大学卒業後、精神保健福祉士一般養成施設等の1年間以上の養成を修了した者

⑨3年制短大卒業後、相談援助の実務経験1年以上で、精神保健福祉士一般養成施設等の1年間以上の養成を修了した者

⑩2年制短大卒業後、相談援助の実務経験2年以上で、精神保健福祉士一般養成施設等の1年間以上の養成を修了した者

⑪相談援助の実務経験4年以上で、精神保健福祉士一般養成施設等の1年間以上の養成を修了した者などが国家試験資格者

で、いずれも試験に合格し、資格取得登録を行ないます。

◎試験科目/①精神疾患とその治療②精神保健の課題と支援③精神保健福祉相談援助の基盤④精神保健福祉の理論と相談援助の展開⑤精神保健福祉に関する制度とサービス、精神障害者の生活支援システム⑥人体の構造と機能および疾病⑦心理学理論と心理的支援⑧社会理論と社会システム⑨現代社会と福祉⑩地域福祉の理論と方法⑪福祉行財政と福祉計画⑫社会保障⑬障害者に対する支援と障害者自立支援制度⑭低所得者に対する支援と生活保護制度⑮保健医療サービス⑯権利擁護と成年後見制度

◎合格基準/①問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者。②①を満たした者のうち、試験科目16科目群の各科目群すべてにおいて得点があった者。また、社会福祉士資格者で特定科目の免除を受けている者は5科目群 すべてにおいて得点があった者。

■試験データ/○受付期間:例年9月上旬~10月上旬○試験地:(7ヵ所)北海道、宮城、東京、愛知、大阪、広島、福岡○合格発表:例年3月中旬○受験手数料:13,250円、精神保健福祉士の共通科目を免除して受験する場合は10,560円(いづれも2013年)

■問い合わせ先/公益財団法人 社会福祉振興・試験センター〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-5-6 SEMPOS(センポス)ビル TEL: 03-3486-7521 FAX: 03-3486-7527  URL: http://www.sssc.or.jp/seishin/ 試験案内専用電話番号03-3486-7559 □その他の問い合わせ先/社団法人日本精神保健福祉士協会(日本PSW協会) 〒160-0015 東京都新宿区大京町23-3 四谷オーキッドビル7F  TEL:03-5366-3152 FAX:03-5366-2993  URL:http://www.japsw.or.jp/




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