実務経験さえ積めば、ステップアップの道が開けている介護の仕事です。

福祉・介護の現場…仕事の魅力と現実

次の方は、看護学校卒業後、看護師でとして病院勤務、その後ケアマネジャーの資格を取得し、現在、有料老人ホームで活躍している女性ケアマネジャーのK.Tさんです。

◇K.Tさんの1日/08:15=看護職員として早朝出勤、会議用資料の作成、デスクワーク12:00=昼休み13:00=午後からはケアマネジャーとして、利用者についてのモニタリング、本人へのアセスメントなど書類作成17:00終業

●利用者に最適なケアプランは確かな知識からです。

介護の仕事に就く人はみんな貪欲になって欲しいと思います。

ホームヘルパーの資格を取って実務経験3年以上で次には介護福祉士、その次には弁護支援専門員(ケアマネジャー)と、ステップアップの道が開かれているので、もっとみんなそれに挑戦して欲しいのです。

何も資格取得にがんばれと言っているのではありません。

資格取得という目標を定め、それに向かって勉強するということは、新しい知識を得たり、経験上や感覚で、“何となくそうかな”と思っていたことを学問として再確認できるわけです。

こういったチャンスを活かそう、ということなのです。

今、介護関係は、さまざまな資格取得とそれを生かした仕事への道が広く開かれています。

自分を成長させるということは、ひいては利用者の皆さまにより良い介護サービスを提供できることになります。

せっかくのチャンスなので、チャレンジしてほしいのです。

K.Tさんは高校を卒業し、病院で看護助手として働きながら看護学校に通って看護師の資格を取得して、以降約10年間看護師として働いていましたが、出産や離婚などの事情で夜勤がむずかしくなり、正職員から昼間だけのパート勤務に変わりました。

しかし、パートの収入だけでは生活が大変と思っていた時に、同僚からケアマネジャーの資格のことを聞きました。

新しい資格だから、この先、仕事の幅が広がるかも、と思って受験を受けることにしたのです。

ケアマネジャーの資格は都道府県が実施する「介護支援専門員実務研修」という研修を受講すると取得できますが、その研修を受けるためには「受講資格試験」があり、看護師の場合は5年以上の実務経験が必要となります。

「正直、ケアマネジャーがどんな仕事をするのかよくわからなかった」というK.Tさんですが、2001年の受講資格試験に合格し、翌年実務研修を終了し資格を得ることができました。

そして、看護師としてパート勤務するとともに、居宅介護支援事業所でもパートでケアマネジャーの仕事に就きました。

その時に前任者から30人以上の利用者を引き継ぎましたが、しかし、電話が掛かってくると必ずクレームでした。

その原因は、前任者が担当していた利用者さんの数が多すぎたため、忙しすぎて利用者さんからの電話にも出られない、面接もできないという状況だったのです。

2000年に介護保険が施行された当初は、担当利用者数に制限がありませでしたが、現在は要介護35人プラス要支援4人までとなり、利用者の居宅へ月1回の訪問が義務づけられました。

居宅介護のマネジメントは介護プランの基本になるので、自分としてもその経験はとても重要なものでした、とK.Tさんは語り続けます。

「ケアマネジヤーの仕事は、高齢者やその家族からの要請があれば、介護保険の申請代行や事業所として受ける認定調査なども行ないます。委託や契約により、その後のサービスを受ける利用者の皆さまと面談し、課題を明確にしたうえで介護プランの原案を作成します。これを基に援助目標を立て、実施する介護サービスの内容を決定していきます」。

介護サービスの内容とは、サービスの種類、時間、回数などで、これらを細かく計画し、利用者への説明を行い、同意を得て実際に介護サービスが始まります。

その後も関係各所と連携を取りながら、1ヵ月ごとに掛かった費用、利用者の負担金を計算し、介護給付管理票の提出を行ないます。

どのような介護プランを立てるのかは、ケアマネジャーによって違う場合があります。

それはケアマネジャーの方々のバックグランドがどういうものだったかに影響されます。

ホームヘルパーからケアマネジャーになった人、看護師からなった人、医者からなった人と、どんな仕事をしていた人なんかによって、どのサービスを選ぶのかの特徴が出てしまいがちです。

利用者の皆さまをアセスメント(課題分析)して、問題点を洗い出すのですが、利用者さんが何らかの病気を抱えている場合には、最初はどうしても病気についての看護目線になってしまたり、ホームヘルパーや介護福祉士からケアマネジャーになった人は介護について生活サポートの面から見ているので、選ぶサービスがそれぞれ看護、介護利用が中心になるようです。

もちろん、どちらが良いとか悪いという問題ではないのです。

「看護には介護の要素もありますので、看護師は介護を全く知らないということではないのです。また、反対に介護の仕事がベースになっているケアマネジャーは関係者の連絡会議の場なので看護師から『看護のことを知らないでしょう』的な態度で言われたこともあったようです。最近では各サービス担当者の位置づけが周知されて明確になり、担当者間のギクシャクした関係は少なってきたと聞いています」と、K.Tさんは語っています。

K.Tさんがインタビューの最初に「資格取得のチャンスを逃がすな」というのは、こういった会議などの意見交換の場で、自分の意見や見解を周囲の人にきちっと伝えるためにも、必要な知識を身に付けよう、ということなのです。

●介護目標を少し高いところに置くことで生活に張り合いができます。

看護師とケアマネジャーの二足のわらじを履くことに体力の限界を感じたK.Tさんは病院勤務を辞め、居宅介護支援事業所の正職員としてケアマネジャーの仕事に専念することにしたのですが、しかし、その後ケアマネジャーの人数も増え、以前ほど資格の金銭的価値が低くなったことや、長く勤められる職場をと考え、現在の職場である介護付き有料老人ホームへ転職しました。

その頃ちょうど有料老人施設にもケアマネジャー導入という時期だったのと、看護師という資格もやはり決め手になったようです。

そうゆう意味では資格はありがたかったそうです。

介護付き有料老人ホームは、介護が必要になった場合には、介護サービスは有料老人ホームが提供するという施設ですが、居宅介護支援のケアマネジャーと仕事の内容に違いがあるのでしょうか?

施設での介護プランは、入居者の皆さが人間らしい良質な生活を送るために、朝起きてから夜寝るまで、就寝中を含まて、必要な生活ケアの計画を立てます。

そのためには、施設の医療、看護、介護の連携状況、介護サービスの提供できるレベルはどうなっているのか、ということをすべて知っていなければなりません。

電話や月に1回の居宅訪問にはない利点は、自分も施設内にいるので利用者と毎日顔を合わせて会話ができることです。とK.Tさんは言います。

「顔色を見たり、あいさつの声などで様子を確認できるのは良いですね。

ただ、毎日顔を合わせているためか、介護プランの目標がかなり現実的になりがちです。

それは『前はできたけれども、ここ最近はこれしかできないから、目標はここまででいいのでは』となるからからです。

つい足元を見てしまいがちなんです。

もう少し目線を高くして、入居者の皆さまとケア担当者が一緒に頑張っていくのが目下の課題です」と語っています。

仕事でもプライベートでも、頑張る姿勢を周囲に示してくれるK.Tさんだからこそ自ら課した課題に最適な解答を見つけ出してくれるに違いありません。




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