●この仕事の内容について

音楽療法とは、音楽の持つ生理的、心理的、社会的働きを用いて心身の障害の回復、身体機能の維持と改善、生活の質の向上、行動の変容などを目指す療法です。

その療法は、一緒に歌ったり、楽器の演奏を行なったりして気分転換やストレスの発散を図る能動的音楽療法と音楽を聴かせて気持ちをリラックスさせるなどの受動的音楽療法の2つに分かれます。

その対象は、高齢者、発達障害者、身体障害者、不登校児、幼児、薬物乱用者、高次脳機能障害者などです。

例えば、自閉症などの障害や精神的ダメージを負った人たちや認知症のお年寄りに、音楽を聞かせたり、一緒に歌を歌ったり演奏するなどして、心身をリラックスさせるといった、音楽通した心理療法を行なうのが音楽療法士の仕事です。

職場によっては、医師や言語聴覚士、作業療法士たちとの連携が必要となります。

このような音楽療法の知識と豊富な臨床経験を身に付け、精神的障害やダメージを負った人の心のケアを音楽療法士は、人の心を癒すという重要な役割を担っています。

また、個々の状態にあった療法を的確に判断する判断力や洞察力なども求められます。

そして、音楽療法士を目指すならピアノやギターなどのなんらかの楽器が弾けるだけでなく、即興で演奏できるセンスもあったほうがいいでしょう。

●職場の状況について

日本では、まだ音楽療法が十分に広まっていないため、福祉関係が多く、病院や知的障害児施設・障害者福祉施設・デイケア・老人福祉施設関係・老人施設・養護学校などが中心です。

また他にも、授産施設・児童施設・精神科病院・一般病院・ホスピスなど、音楽療法士の活躍の場は、徐々にですが、広がっているようです。

やはり福祉関係が多く、病院・老人福祉施設関係をはじめ、知的障害児施設やデイケア・養護学校・障害者福祉施設・授産施設・児童施設など、多くの福祉施設の病棟などで、現在は、活躍しています。

また、福祉関係施設で、認知されている日本の音楽療法ですが、最近では、マタニティミュージックやヒーリングミュージックなど、音楽の力が、日本の医療だけではなく、一般の人たちにも影響しているようです。

将来的には、音楽療法士の活躍の場は、ずっと広くなることが予想されます。

●雇用形態と初任給について

心理療法の一つとしてのニーズは高まりつつありますが、音楽療法士が常勤で働く場合は少ないようです。

福祉施設での施術の場合、1回の報酬は1,500円~10,000円と幅広く、特に定まった料金はありません。

また、ボーナス収入もありませんし、福利厚生・休日という概念もありません。

さらに、各種保険制度の対象でないので、非常厳しい環境です。時には、福祉施設・NPO法人などでアルバイトや契約・派遣スタッフとして募集している場合は、時給800円~1,200円ほどの相場です。

また、なかには、作業療法士や、理学療法士の資格をとって、収入の安定を図っている方もいます。

●この資格の将来性について

欧州では、音楽療法は普及していますが、日本での認知はまだそれほど高くはありません。

しかし、医療分野だけでなく福祉の分野でも音楽療法の効果が徐々に認められつつあります。

医学や従来の新療法でのアプローチでもなかなか改善が認められなかった人が、音楽療法によって心を開いたり、病状が改善したという臨床例などさまざま報告されています。

ある精神科の医師は、「音楽は人間を解放していきます。

音楽療法は薬を使わず音楽で認知症改善、予防に有効でこれからの新しい療法になっていきます」と述べています。

しかし、現在のところ音楽療法には医療保険が適用されておらず、医療分野での普及は進んでいませんが、作業療法士などの資格とあせて持つ方法で、病院に勤務している人もいるようです。

まだまだ未開拓の分野ですので、この資格だけで身をたてるのは厳しいというのが現状なので、福祉系の職場の場合で働く場合には、介護福祉士などの、他の福祉系の資格に加えて取得することがおすすめです。

●音楽療法士になるためには?

この資格は、医師や音楽関係者が設立した任意団体「日本音楽療法学会」の認定する民間資格です。

過去は書類選考コースと音楽療法コースがありましたが、2011年4月からは音楽療法コースのみとなっています。

音楽療法コースで音楽療法士と認定されるのは、学会が認定する音楽大学・短大や専門学校などで、音楽療法についての知識を学んで修了し、音楽療法士(補)の資格認定を受け、その後、臨床経験を3年以上経験した後、認定申請をして、書類審査と面接を受け、合格後会員に登録されます。

◎認定資格/①日本音楽療法学会の正会員であること②音楽系4年制大学または専門学校で専門課程を終了していること③臨床経験3年以上 ◎試験期日/毎年1回◎書類審査の内容/○書類審査①音楽療法の知識(大学などでの履修)②講習会・学会への参加③臨床経験(事例研究レポートの提出)④研究発表⑤論文・著書⑥教育指導経験⑦その他※①あるいは②と③、④の3項目が必須項目です。○面接

また、音楽療法士学会では5年ごとの資格更新システムがあります。

■問い合わせ先/日本音楽療法学会 〒105-0013東京都港区浜松町1-20-8 浜松町一丁目ビル6F  TEL: 03-5777-6220 FAX: 03-5401-0337  URL:http:// www.jmta.jp

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1962年9月15日生まれ。 神戸市在住。 資格:実務者研修

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