●仕事の内容について
1997年に言語聴覚士が制定され、国家資格になりました。
それまでは、いくつかの団体が認定した「言語療法士」や「臨床言語士」、「医療言語聴覚士」などの名称で呼ばれていた資格でした。
言語聴覚士は、何らかの原因で言語障害や難聴、失語症、言葉の発達の遅れなど、言語や聴覚の障害を持つ人に対して、機能回復や発達促進を図るための専門的な訓練や検査、助言、指導を行なうのが主な仕事です。
それはまず、機能障害で起こるコミュニケーション障害の程度を評価し、適切なリハビリテーションプログラムを作成することから始まります。
専門的な知識や技術はもちろん必要ですが、緻密な観察力、思うように表現できない人の気持ちを受け止めることのできる豊かな人間性や想像力、そして、障害者の思いを上手に引き出す力が求められます。
そのような問題の解決には長い時間が必要で、粘り強さや柔軟性、周囲との協調性も必要とされます。
言語によるコミュニケーションに障害を持った人を対象とする職業なので、どのような状況であっても、気持ちに余裕の持てる強い精神力の持ち主が適しています。
●職場の状況について
職場は、リハビリテーション科、耳鼻咽喉科を中心とした病院などの医療機関や難聴幼児通園施設、聴覚・言語障害者更生施設、重症心身障害児施設などの福祉施設などが主なところです。
またその他、保健所、リハビリテーションセンター、介護老人保健施設、訪問看護ステーション、児童福祉施設などもあげられます。
また、小学校や中学校の“ことばの教室(難聴学級)”などの教育機関での活躍や補聴器メーカーなどの一般企業での需要もあります。
●雇用形態と初任給について
仕事は常勤での勤務がほとんどです。
初任給は18万円~22万円と大卒の一般職とほぼ同額といわれています。
非常勤の場合は時給1,500円前後のようです。
医療機関に勤務した場合は、診療日や診療時間内の勤務することになるので残業があっても、比較的規則正しい勤務となります。
●この資格の将来性について
1997年に国家資格となって以来、医療分野を中心に活躍の場は増加しているものの、まだ職場が少ないのが現実です。
また、理学療法士や作業療法士と比べると、歴史が浅いために、求人も比較的少ないのが実情です。
しかし、高齢者の口の中をマッサージして誤嚥(ごえん=食べ物などが誤って軌道にはいいてしまうこと)防止に努めるなど、これまでと違う仕事が登場し、今後仕事の幅が広がりそうです。
●言語聴覚士になるためには?
大学、短大、養成所などで言語聴覚士として必要な知識および技能を習得し、国家試験を受験し合格することが必要です。
◎受験資格/①大学(短大を除く)などで言語聴覚士になるための指定科目を履修し卒業した者②高校卒業後、言語聴覚士養成学校または養成施設で、3年以上言語聴覚療法の知識や技術を修得し修了した者。③大学などで2年以上、高等専門学校では5年以上を修学し、指定科目を履修し、指定養成施設で1年以上、言語聴覚士として必要な知識や技術を修得した者④大学などで1年以上、高等専門学校で4年以上を修学し指定科目を履修した後、指定養成施設で2年以上、言語聴覚士としての必要な知識や技術修得し修了した者⑤大学(短大を除く)などを卒業し、指定養成施設で2年以上、言語聴覚士として必要な知識と技術を取得し修了した者⑥海外で言語聴覚士法の学校を卒業したか、免許を取得した者で、厚生労働大臣から日本の養成施設で学んだ者と同等の能力があるとの認定を受けた者⑦言語聴覚士法が施行された1998年10月1日の時点で、既に指定養成施設を卒業しているか、または在学中でその後卒業した者。
■試験スケジュール/○申込み期間:例年11月中旬~12月中旬○試験日:例年2月中旬○試験地:6ヵ所(北海道、東京、愛知、大阪、広島、福岡)○合格発表日:例年3月下旬
■試験データ/○試験手続き:公益財団法人 医療研修推進財団に必要書類を提出すること○必要書類:受験願書、写真1枚、返信用封筒、受験資格を証明する書類(修業証明書もしくは修業見込証明書等、受験資格によって異なる)○受験手数料:34,000円(2013年)
■問い合わせ先/公益財団法人 医療研修推進財団 試験登録部 〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-22-14 ミツヤ虎ノ門ビル4F TEL:03-3501-6515 URL:http://www.pmet.or.jp/ □その他の問い合わせ先/一般社団法人 日本言語聴覚協会 〒162-0814 東京都新宿区新小川町6-29 アクロポリス東京9F FAX:03-6280-7629 URL:http://www.jaslht.or.jp/