●仕事の内容について
福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障害者に対して住みやすく快適な住環境を一緒に考え、提案するアドバイザーです。
医療・介護・福祉・建築などの専門職の方々と連携し、その家や施設に暮らす人それぞれに合わせた住宅改修プランを提案します。
また、福祉用具や福祉行政施策・制度情報などについてもアドバイスします。
主な仕事は、介護保険制度の下での住宅改修に係わるプランの作成です。
ケアマネジャーとの連携をとりながら、改修プランを決めていきます。
また、福祉施策や福祉・保険サービスなどの情報を提供したり、福祉用具・介護用品から家具までの選択や利用法のアドバイスやバリアフリー住宅の新築や建て替え、リフォームなど暮らしにまつわる総合的なコーディネートやアドバイスを行ないます。
さらに、その他、一般住宅のリフォームの場合やボランティア活動でも活躍しています。
このように、福祉住環境コーディネーターとは、暮らしと医療・福祉などの分野の知識を必要とします。
●職場の状況について
主な就職先は、建築・住宅・リフォーム・福祉用具メーカーなどの民間企業から特別養護老人ホームや各種施設、病院までさまざまです。
また、デパート・ホテル・行政機関などで活躍する人もいます。
福祉施設などでは社会福祉士などがステップアップのために資格を取得する場合も見受けられます。
実際に資格を取得しても「福祉住環境コーディネーター」という職種で採用している事業所や企業は非常に少ないのです。
受験者のほとんどは、建築関係のリフォーム会社や工務店に就いている建築士、介護保険で福祉用具貸与や住宅改修などを行っている事業所の福祉用具専門相談員、ホームヘルパーや介護支援専門員など福祉関係職の受験が多く、自己のスキルアップや会社の資格取得の勧めで受験する者もいます。
●雇用形態と初任給について
福祉住環境コーディネーターは単独での仕事というより、高齢者の住宅改修に役立たせるために、企業が社員に、この資格を取得させるケースが多く、また就職の際にも有利です。
初任給は就職した先によって異なりますが、東京都にある建築関連企業に就職した場合は、大卒者でおおよそ19万円にプラス諸手当がつきます。
●この資格の将来性について
福祉住環境コーディネーター資格を就職という面からみると、該当する分野の市場性が重要な要素となります。
介護住宅に面から見ると、住宅改修費給付金がありますが、対象となる住宅改修は、手すり、スロープ、洋式トイレ、段差の改修、滑り防止などの限定された小工事に限られ、給付金の上限も一件あたり20万円と定められています。施工業者からみれば、大きい市場とはいえません。
しかし、 一方、改修件数は、単年度37万件にのぼりますので、付随するリフオーム工事や住宅建て替え等の潜在需要を含めると、市場規模はもっと大きなものとなります。
ただし、この給付金の申請で提出する住宅改修の“理由書”の作成することができますが(1級・2級のみ)、ケアマネジャーや建築士、理学療法士、作業療法士等も作成することができるので、福祉コーディネーター資格ひとつで独立できる資格ではありませんので、建築士やケアマネジャーの資格にプラスされると有効でしょう。
実際に、資格検定試験に挑戦している人が多いのです。
また、福祉用具については、高齢化が進む中で、非常に関心が高まっていく市場です。
国は「戦略的な新産業分野」重点分野の一つとして、健康福祉機器・サービスあげています。
介護保険法の福祉用具の範囲は、今のところ品目数は少なめですが、福祉用具法に定める品目数は多く、その市場は1兆円を超えるといわれ、福祉用具に類似した共用品を含めると約4兆円です。
その、潜在的なニーズは非常に大きく、中小製造業の新たな参入が期待される市場の一つとされています。
しかし、福祉用具を必要としている人たちのニーズをつかめていない中小零細企業も多いことと、福祉用具を求めている人たちに的確な情報が行き渡らないというミスマッチが生じています。
このような市場を背景にして、福祉住環境コーディネーター資格取得者の活躍の場の広がりを期待できますが、しかしいまだ、福祉住環境コーディネーターの役割が十分浸透していないというのが実情です。
介護の分野へ進むのか、住宅建設分野へ進むのか、福祉用具介護用品分野へ進むのか、それらを組み合わせたシルバー向け総合企業に進むのか、進む分野によって同じ福祉住環境コーディネーター資格取得者でも、将来の在り方は、それぞれ異なっていくことになります。
●福祉住環境コーディネーターになるためには?
この資格を得るには、一般的には、東京商工会議所が主催する福祉住環境コーディネーター検定試験の1級~3級を受験することです。
試験地は、全国各地の商工会議所の指定の場所で実施されます。
受験資格は特になく、学歴・年齢・性別・国籍などの制限もありません。
2級や3級と2級を同日に受験することも可能です。
2級・3級は検定試験1回で、1級は2次試験まであり、1次試験合格者のみ2次試験の受験資格が与えられます。
検定試験合格後、合格証が発行されます。
この資格は、建設関係の会社や他企業に勤めている人や福祉系大学や専門学校だけでなく福祉や介護の現場スタッフなどの人がスキルアップのために取得するケースなどが増えてきています。
近年では、主婦やボランティアなどの関心も高いようです。
◎試験の出題内容/○3級:①少子高齢社会と共生社会への道②福祉住環境整備の重要性・必要性③在宅生活の維持とケアサービス④高齢者の健康と自立⑤障害者が生活の不自由を克服する道⑥バリアフリーとユニバーサルデザインを考える⑦生活を支えるさまざまな用具⑧住まいの整備のための基本技術⑨生活行為別に見る安全・安心・快適な住まい⑩ライフスタイルの多様化と住まい⑪安心できる住生活⑫安心して暮らせるまちづくり○2級:3級レベルの知識に加え、①高齢者・障害者を取り巻く社会状況と住環境②福祉住環境コーディネーターの役割と機能③障害のとらえ方④リハビリテーションと自立支援⑤高齢者・障害者の心身の特性⑥在宅介護での自立支援のあり方⑦高齢者に多い疾患別にみた福祉住環境整備⑧障害別にみた福祉住環境整備⑨福祉住環境整備とケアマネジメント⑩福祉住環境整備の進め方⑪福祉住環境整備関連職への理解と連携⑫相談援助の実践的な進め方⑬福祉住環境整備の共通基本技術⑭生活行為別福祉住環境整備の手法⑮福祉住環境整備の実践に必要な基礎知識⑯福祉用具の意味と適用⑰生活行為別にみた福祉用具の活用○1級:3級・2級で得た知識をもとに、①これからの社会に求められる福祉住環境整備②福祉住環境コーディネーター1級の目標と役割③地域で支える高齢者ケア④地域で支える障害者ケア⑤地域福祉の推進と福祉コミュニティ⑥福祉コミュニティづくり⑦ユニバーサルデザインの概念および沿革⑧ユニバーサルデザイン環境の整備手法⑨高齢者・要介護者向け住宅・施設の流れ⑩高齢者住宅・施設の種類と機能⑪障害者向け住宅および施設の種類と機能⑫福祉住環境のコーディネートの実際
■試験データ/◎受付日:○前期=例年4月下旬~5月下旬(2・3級)○後期=例年9月中旬~10月中旬(1・2・3級)◎試験日:○前期=例年7月頃(2・3級)○後期=例年11月頃(1・2・3級)◎合格発表日:○前期=8月頃○後期=1月中旬(2・3級)、3月下旬頃(1級)◎受験地:全国の都道府県の主要商工会議所(310ヵ所+東京33区)◎受験料:1級10,500円、2級6,300円、3級4,200円(ともに2013年)◎試験内容:○3級=マークシート方式、制限時間は2時間、100点満点で70点以上を合格とします。内容…福祉と住環境との連携、福祉住環境の整備に必要な理論と実践など。○2級=マークシート方式、制限時間は2時間、100点満点で、70点以上を合格とします。内容…障害者の障害特性や住生活関連の諸施策など実務能力(課題に対する提案力)などの、実践力、応用力、総合的判断力を問います。○1級=前半…マークシート方式2時間、後半…記述式2時間、マークシート方式・記述式各100点満点で、各70点以上を合格とします。※2級合格が条件です。
■問い合わせ先/東京商工会議所 検定センター〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-2-2 TEL:03-3989-0777 URL: http:// www.kentei.org/fukushi/ □その他の問い合わせ先/福祉住環境コーディネーター協会 〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-2-2 東京商工会議所ビル3F TEL:03-3283-7480 FAX:03-3283-7488 URL: http:// www.fjc21.org/