◇設備の概要/おおむね60歳以上の自立したお年寄りが対象で、サービスによって3つのスタイルがあります。
◇職員の内容と資格/○職員…施設長、事務員、生活相談員、支援員、介護職員、看護職員、医師、栄養士(管理栄養士)、調理員など○資格等…社会福祉士、社会福祉主事、介護福祉士、ホームヘルパー、看護師、医師、管理栄養士、栄養士。
※職員・資格は事業所で必須の人員でありません。事業所によって違いがあります。
●日常生活ができるお年寄りの入所が基本の施設です。
軽費老人ホームは、介護老人福祉施設や介護老人保健施設のような介護保険施設ではありません。
それは、どちらかというと高齢者専用アパートに近いイメージです。
ただし、「家庭環境、住宅事情などの理由で自宅での生活することが困難なお年寄り」を対象としています。
定額で高齢者に入所してもらい、日常生活を送る上で必要なサポートや食事を提供する施設で、提供するサービスに応じて、A型、B型、ケアハウスの3種類があります。
A型は食堂が整備されていて、食事を提供します。
B型は原則として自炊です。
ケアハウスは、自炊ができない程度に身体機能の低下がある人を対象としており、食事を提供します。
介護が必要な状態になった場合には、施設内に介護サービスがあれば入所したままで介護のサービスを受けられ、また介護サーサービスが無い場合は、外部の事業者による介護サービスを利用します。
A型老人福祉法が制定された1963年からありましたが、1971年にはB型が、さらに1989年にケアハウスが制度化されるなど、それぞれ時代のニーズに応じて追加されました。
その結果、今では職員や居室などの基準がさまざまで複雑化してしまったことと、入居者の高齢化で介護サービスが重要になってきていることもあって、今後は現在のA・B型も含め、ケアハウスのタイプに一本化される方向にあります。
利用者やその家族とホームの契約によって入所できますが、誰でもが入所できるわけではなく、A・B型は家庭環境や住宅事情によって在宅での生活が難しい60歳以上の人(夫婦で入居する場合はどちらかが60歳以上)で、身の回りのことができる、認知症などが無い、集団生活ができる、利用料を負担できる、所得制限があるなどの条件があります。
これらの条件が満たない場合は、入所を断られたり、あるいは入所中であっても施設側の判断で退所ということもあります。
ただし、ケアハウスに関しては所得制限がありません。
また、入居者が介護の必要な状態になったら、原則的には各々訪問介護サービスを利用することになります。
仮に老化が進み重度の認知症になったり、片時も目が離せないような状態で24時間介護が必要になったら、他の施設に移らなければなりません。
ケアハウスの場合は、施設自体が介護保険指定事業者であれば、そのまま施設で介護サービスを受けることも可能です。
しかし、重度の要介護の場合には、他の施設に移ることもあります。
●働いている人は、生活指導員、施設の管理人が中心です。
施設長や事務員、生活相談員、支援員、看護師などのほかに、食事の提供があるA型やケアハウスでは栄養士、調理員がいます。
入浴サービスを行っている施設では入浴介助が必要になることもあります。
B型は、施設というよりアパートに近い感覚で、職員も管理人的な仕事になります。
しかし入所者は高齢者ですので、普段から見守りや生活アドバイスなど、些細なことでも気にかける気配りが必要です。
●将来は、ケアハウス化や介護型老人ホームへの転身も考えられます。
2010年では、A型が218ヵ所、B型が28ヵ所、ケアハウスが1,718ヵ所となっています。
前述したように、今後はA・B型という区分がなくなりケアハウスのみなると思われます。
また、ケアハウスは基本的には“身の回りのことを自分でできる人”が入所する施設ですが、最近では介護老人福祉施設や介護型の老人ホームと同じように、要介護が必要な状態になってからも入所できる施設も増えてきました。
●軽費老人ホームで働くためには…
軽費老人ホームは、福祉法人や医療法人などが介護老人福祉施設やデイケアセンターなどと一緒に経営しているケースが多く、軽費老人ホーム単独での募集はあまりありません。
こうした法人に就職した場合でも、必ずしも軽費老人ホームで働けるとは限らないので、自分がどこで働きたいのかを明確にして就職活動をした方が良いでしょう。
◎各施設の状況(2010年10月現在)
○軽費老人ホームA型の場合は施設数=218ヵ所、利用者=11,857人、従事者数=2,966人
○軽費老人ホームB型の場合は施設数=48ヵ所、利用者=840人、従事者数=87人
○軽費老人ホームケアハウスの場合は施設数=1,718ヵ所、利用者=65,461人、従事者数=14,547人