◇施設のあらまし/介護を必要とするお年寄りに対して、通所で、食事や入浴などの日常生活に必要な世話や機能訓練などを行なう施設です。
◇職員の内容と資格/施設長、事務職員、生活指導員(生活相談員)、介護職員、介護支援専門員、レクリエーション指導員、機能訓練指導員、看護職員、医師、栄養士、調理員、送迎ドライバーなど○資格等…社会福祉士、社会福祉主事、介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、ホームヘルパー、音楽療法士、健康運動指導士、福祉レクリエーション・ワーカー、理学療法士、作業療法士、看護師、医師、歯科医師、栄養士、調理師、自動車免許。
※職員・資格は事業所で必須の人員でありません。事業所によって違いがあります。
●この施設は、自宅で暮らすお年寄りに日帰りでさまざまな介護サービスを提供します。
主に65歳以上のお年寄りを対象に、通ってもらい介護を行なう施設です。
食事の提供、機能訓練(リハビリテーション)、レクリエーション、健康チェックなどのサービスを提供します。
また、特定疾病により要介護状態になった40歳以上の人も利用可能です。
施設によっては、入浴サービスも行っているところもあります。
2000年から実施されている介護保険法上は「通所介護事業所」と呼ばれています。
施設では、利用者が友だちをつくったり、機能訓練を行なうほかに、自宅で介護をしている家族が昼間の時間に、介護から離れて休養を取ったり、趣味などに没頭する目的でも活用されています。
老人デイサービスセンターには、A型(重介護型)、B型(虚弱型または基本型)、C型(軽介護型)、D型(小規模型)、E型(徘徊型認知症の毎日通所型)の5種類があり、一般的にはB型(虚弱型)が基準とされています。
通所型の施設には、理学療法、作業療法による機能訓練や創作活動など、その他必要なリハビリテーションを実施するデイケアセンターもあります。
デイサービスセンターとデイケアセンターの違いは、デイケアセンターでは介護とともに医療的ケアを行なうことにあります。
なお、デイケアセンター、デイサービスセンターともに、開設主体は社会福祉法人、医療法人、NPO、地方公共団体などがあります。
他に株式会社などの営利法人も多くあり、リハビリが目的のデイケアセンター(通所リハビリテーション)では、医療法人が多くなっています。
デイサービスセンターにおける1日は、だいたい9時頃から始まり、夕方4時~5時くらいに利用者が帰宅します。
午前中は健康チェックや軽い体操、集団でのレクリエーションなどを行い、昼食を取ったあとは、入浴やレクリエーション、または昼寝をし、おやつをはさんで夕方までレクリエーションなどが行なわれます。
カラオケや簡単なゲームができる装置を置いてあるところもあり、生活に必要な機能訓練を行いながら、1日を楽しく過ごしてもらうのです。
●職員はリハビリテーションや健康チェック、入浴などの多彩なサービスの対応をしています。
この施設は介護老人福祉施設などに併設されているところもあれば、その施設長がデイサービスの施設も同時に管理している多くなっています。
健康チェックや動作訓練、求職など、施設の規模でするべきことが定められているので、その業務を遂行できるだけの人材や資格を持った人が必要となります。
具体的には介護職員、生活相談員、看護師、理学療法士、作業療法士、医師、歯科医師、歯科衛生士、栄養士、送迎車のための運転手などです。
最近では、口腔ケア(歯磨き、義歯の手入れなどの口周り全般のケア)の重要性が高まっています。
そこで、歯科医師が常駐したり、歯科医院と提携して定期的に歯科医師や歯科衛生士を派遣してもらっているデイサービスセンターが増えています。
モノを噛むということは脳を刺激するため脳のリハビリになります。
また、自分でおいしく食事をすることは人生の楽しみにもなります。
そしてもっと大切なことは嚥下(えんげ=飲み込むこと)性肺炎(または誤燕性肺炎)の予防です。
唾液や食べ物を誤って気道に入れてしまうことで、そこに含まれる細菌から引き起こされる肺炎のことです。
高齢者の肺炎の約70%が、この嚥下性肺炎が原因だといわれており、口の中の細菌が繁殖しないように清潔に保つことが大切なのです。
そのために、歯科医師や歯科衛生士に歯磨きや義歯の手入れの仕方を指導してもらい、嚥下性肺炎の予防に努めることが重要なのです。
また施設は通所のため、車での送り迎えが欠かせません。
小型バスなどで利用者の自宅を回って送迎するため、送迎車ドライバーが働いています。
小規模な施設では生活相談員が送迎している場合もあります。
ここでいう生活指導とは、趣味や運動などのレクリエーション活動も含みます。
これらの活動を通して新しい友だちをつくったり趣味の仲間を増やしたり、楽しくハリのある生活を送れるようにサポートします。
そのため、福祉レクリエーション・ワーカーや健康運動指導士、音楽療法士などが働いていたり、定期的に派遣してもらっている施設もあります。
デイサービスセンターは、利用者本人のためでなく、自宅で介護する家族の負担を軽くする役割もなっています。
介護は24時間、休みのない仕事になるので、せめて日中だけでもこのような施設で、お年寄りを見ていてくれると、介護する家族にとっては身体的にも精神的にも負担が軽くなります。
ですから相談員は利用者本人だけでなく、家族からの介護相談などを受け適切なアドバイスも行ないます。
●お年寄りが元気に過ごすためにも、ますます重要視されるセンターの充実です。
2010年には、デイサービスセンターは全国で26,028ヵ所、前年より1,923ヵ所増加しています。デイケアセンターも6,599ヵ所あり、両方合わせると約135万人以上が利用しています。
在宅看護の中核となっている通所介護施設と訪問介護は、今後もしばらくは増加し続けることでしょう。