◇施設のあらまし/さまざまな理由によって家庭で養育できなくなった、新生児から幼児期までの乳児を養育する施設です。
◇職員の内容と資格/○職員…施設長、事務員、児童指導員、保育士、看護職員、保健師、医師、栄養士、調理員など。○資格等…児童指導員、保育士、看護師、保健師、医師、管理栄養士、栄養士、調理師など。
※職員・資格は事業所で必須の人員でありません。事業所によって違いがあります。
●乳児院は24時間体制で運営されています。
乳児院で預かるのは、捨て子、保護者などに虐待された子、親の死亡や病気で出産、離婚、家出そして経済的理由など、さまざまな事情での養育を受けられない乳児です。
児童福祉法に基づいて設置された施設で、親に代わって、基本的には生後間もない新生児から1歳未満の乳児を預かりますが、状況によっては、小学校就学前の幼児までを養育し、その生活の場となります。
預かる時間は、1ヵ月未満の短期から1か月以上の長期にわたり、昼夜を問わず24時間体制で運営されています。
運営には国や地方自治体の補助があり、費用は低額か無料となっています。
乳児が入所する条件は、都道府県知事による委任を受けた児童相談所が窓口になって審査され一定基準に達していると判断すれば入所することができます。
乳児院は乳児を24時間通して預かるので、健康管理や発育状況には特に注意が払われています。
施設には寝室、観察室、病室、ほふく室、日光浴室、調理室、トイレなどを設けることが定められています。
乳幼児の健やかな成長を家庭に代わって支えています。
ほとんどの幼児は、3歳になるまで家庭に引き取られますが、以後も養護が必要とする子どもは、児童養護施設で引き続き養育されていきます。
●働くスタッフは看護師が中心でしたが、いまでは、多くの保育士が働いています。
乳幼児を世話するのは、保育士、看護師、児童指導員、嘱託医などで、その他に施設長、栄養士、調理員、事務員などがいます。
また、定員50人以上の施設では、薬剤師、放射線技師などが働いている場合もあります。
入所している乳幼児はまだ体の抵抗力が弱いので、医学的管理を中心としたスタッフ構成になっています。
医師、看護師が配置され、健康管理や事故防止に気をくばり、病気にもすぐ対処できるようになっています。
これまで乳児院で働くスタッフは、看護師が中心でしたが、看護師のニーズが高まりスタッフを確保するのが難しくなったため、現在では多くの保育士が働いています。
さらに、精神発達の観察、指導、食事、入浴、おむつ交換、日光浴、健康診断などの仕事を行っています。
乳幼児を世話する保育士や看護師は、担当する乳幼児が決まっており勤務は24時間体制で、1日の労働時間は約8時間の交代制で勤務します。
ここで働く栄養士と調理師は、乳幼児に合わせた食事づくりが求められます。
新生児にはミルクを幼児には離乳食を中心に、発育に欠かせない栄養を摂取できるように食事管理をします。
乳幼児は“食べること”から多くを学ぶ時期であり、それにともなう食事管理は大変重要な仕事ですので、栄養士、調理員など食事スタッフは一丸となって乳幼児に必要なケアをします。
その他、一般のボランティアも、遊び相手や掃除などで活躍しており、乳児院の一部を支えています。
乳児院の新規開設はわずかですが増え続けています。
複雑化している子育ての現状が乳児院を必要としています。
さらに福祉制度改革の一環として、家庭の仕事育児の両立を支援するための一時預かり事業や地域の育児相談の拠点といった、子育て家庭の支援事業など、新しい試みもなされています。
子どもを育てる環境が変わってきたため、専門的知識による質の高い公的なサービスが求められているのです。
新しい時代に合った育児サービスの提供が望まれています。