障害者授産施設【身体障害者授産施設(身体障害者福祉法による)】・【知的障害者授産施設(知的障害者法による)】・【精神障害者授産施設(精神障害者福祉法による)】

福祉・介護の職場ガイド

◇施設のあらまし/一般就労が難しい身体障害者および知的障害者を入所・通所させ、生活指導、職業訓練を行い、施設内で就労を提供する施設です。

◇職員の内容と資格/○職員…施設長、事務員、生活指導員、職業指導員、機能訓練員、心理職員、看護職員、医師、栄養士、調理員など。○資格等…社会福祉士、社会福祉士、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、精神保健福祉士、看護師、医師、管理栄養士、栄養士、調理師など。

※職員・資格は事業所で必須の人員でありません。事業所によって違いがあります。

●職業訓練をしながら働く場所を提供する施設です。

障害者授産施設は、普通に働くことが困難な、あるいは職業を得ることが困難な障害者に、生活指導したり、知識や技能を指導して、就労に必要な能力を促進し、職業訓練などを行なう施設です。

障害者更生施設などと大きく違う点は、施設自体が働く場所を提供して自立支援していくという特徴があることです。

この施設には、自宅から通う通所型と施設に入所して共同生活を送る入所型があります。

障害に合わせた次のような種類があります。

30‐1.身体障害者授産施設(通所・入所)

日常生活ができて、集団生活に適応できる18歳以上の身体障害者が入所あるいは通所し、社会参加のための訓練と就業などを主な目的とした施設です。

最終的には一般企業に就職したり、自営業などで自活することを目的としていますが、これらが困難な障害者の場合には、施設内に設けられた職場で働いてもらい、それに見合った賃金を支払っています。

こうして授産内でつくり出せるモノは授産品と呼ばれ、印刷、電子部品組み立て、縫製、パソコン業務、システム開発などいろいろな事業を展開しており、その実績が高く評価されている施設もあります。

30‐2.知的障害者授産施設(通所・入所)

一般企業で働くのが困難な知的障害者を通所・入所させ、自立に必要な訓練や働く場所を提供して、社会への参加を促進するための施設です。

自宅から通う通所型と入所型があります。

知的障害者授産施設でも、各種いろいろな授産事業が行なわれています。

農作業、園芸、製品組み立て、清掃、クリーニング、食品製造や加工など、施設の特徴を生かした、さまざまな事業を行っています。

これによって生じた利益の一部は賃金として利用者に支払われます。

最終目的は、一般企業への就職ですが、施設そのものが働く場となって、自立支援のための保護雇用をしている場合がほとんどです。

また、中には独自のブランドを立ち上げて、地域の特産品として販売している施設もあります。

30‐3.精神障害者授産施設(通所・入所)

地域での自立を目指し、社会生活に適応していくことを希望する精神障害者のための施設です。

通所型と入所型あり、自立に向けて必要な作業能力を持つ人が対象とされます。

それぞれの能力に応じた生活訓練、職業訓練を行い、自立した生活を目指します。

職業訓練を含めた授産事業では、食品製造、手工芸品、機械部品製造、農作業、軽作業、クリーニングなどが行なわれ、作業による収入は均等に利用者へ配分されます。

また、生活訓練では、金銭管理、整理整頓、清掃などから規則正しい生活リズムを身に付けていきます。

旅行や季節行事、地域行事の取り組み、社会との交流を深めるための支援もこの施設の重要な役目です。

施設は、通所型が111ヵ所で、入所型が13ヵ所(2010年度現在)と、通所型の方が圧倒的に多く、より身近で小規模な通所型授産施設の需要が高いといえるでしょう。

●これらの施設では生活支援と職業指導の職員が中心的な存在となります。

それぞれの授産施設では、どのようなスタッフが働いているのかを説明します。

説明に出てくる「生活支援」とは、生活全般にかかわる施設の中心的なスタッフで、採用の際の絶対条件ではありませんが、社会福祉士や社会福祉主事の資格を持つ人が求められます。

また、「職業指導員」は、利用者の自立に向けた職業指導を行なうスタッフで、指導する業務に精通していて、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持つ人が多いようです。

30‐1.身体障害者授産施設(通所・入所)

この施設では、施設長、生活支援員、職業指導員、作業療法士、栄養士、調理員などが働いています。

生活支援員は、施設での規則正しい日課を支えますが、職業指導員は、就労や職業訓練を受け持ち、その存在は重要で、個人個人の身体障害者の状態に合わせた指導が必要とされる難しい仕事です。

しかし、みんなと一緒に何かをつくりだしていく感動を共有することの喜びはなににましても得がたいものがあります。

また、年中行事やイベントなども行なわれ、楽しみながら自立に必要な能力の開発や支援する施設になっています。

30‐2.知的障害者授産施設(通所・入所)

この施設でも職業指導員と生活支援員が大きな役割を果たしており。

施設での配属人数も最も多いことからも、その重要性がわかると思います。

日常性や職業訓練、そして就労相談や家族や地域との連絡業務など、それぞれのニーズに合わせたきめの細かい支援を求められる職務です。

職業訓練では通所・入所者の個性や地域の特性を生かしていく力が求められます。

その他に、施設長、作業療法士、栄養士、調理員などが働いています。

30‐3.精神障害者授産施設(通所・入所)

この施設でも職業指導員と生活支援員が中心的な存在です。

その他にも、施設長をはじめ、精神保健し、作業療法士、作業指導員、などが働いています。

業務は、職業訓練や日常生活指導、生活設計、連絡調整業務までこなさなければならない多忙な職場です。

さらに利用者やその家族を含めた広範囲の相談に応じる各種相談業務も業務の一つとなっています。

そして、前向きに生きようとする障害者を支えていく喜びはかけがえのないものとなっています。

また、施設の中には、そこでつくられたモノの素晴らしさが認められ表彰されたり、自治体の推奨品に指定された場合もあり、地域にとって期待されている施設もあるのです。

近年では、通所型で小規模な授産施設のニーズが高まってきています。

2010年度では入所型の134施設に対して、通所型は753施設となっています。

●近年、小規模施設が増加傾向であったが、「障害者自立支援法」の見直しよって制度の方向が見えないため、足踏み状態となっています。

2006年に施行され「障害者自立支援法」により、身体障害者・知的障害者授産施設も改革を余儀なくされています。

障害者の福祉向上が目的として誕生した法律ですが、民主党政権によって、2010年の「障害者制度改革推進会議」で、この法律の見直しがはじまり変更されることが決定しています。

利用する障害者の負担が増えたというだけでなく、身体障害者・知的障害者・精神障害者授産施設も新しいサービス事業に移行していくどうかを法律の行方を見ながら考えることになります。

障害者福祉の一層の向上を目的とする福祉業界では、働く職場として魅力あるものにして、質の良い職員を確保する必要が叫ばれています。

近年の動向としては入所型よりも地域密着型で小回りの利く小規模授産施設の増加傾向にあります。

しかし、移行期間の中で新体系を模索したり、移行した施設も多く、今後の成り行きに注意して、職場選びをしていく必要があります。

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