肢体不自由児施設(児童福祉法による)

福祉・介護の職場ガイド

◇施設のあらまし/手足や身体に障害を持っている子どもを入所させ、長期入院治療、機能訓練や生活指導を行なう施設です。

◇職員の内容と資格/○職員…施設長、事務員、保育士、児童指導員、職業指導員、機能訓練員、看護職員、医師、栄養士、調理員など。○資格等…保育士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、児童指導員、看護師、医師、管理栄養士、栄養士、調理師など。

※職員・資格は事業所で必須の人員でありません。事業所によって違いがあります。

●身体に障害のある子どもに自活できる力を養う支援をする施設です。

肢体不自由児施設は、上肢(手・腕)、下肢(足)、背骨などに持続的な機能障害を持った児童に長期治療をしながら、社会への適応と自活できる力を養わせるための施設です。

機能訓練や教育、生活指導を行いながら、障害を持つ子どもに的確な治療を施す病院でもあります。

現在、ほぼ各都道府県に設置されていますが、施設の規模は多種多様です。

肢体不自由児施設の普及は、世界の中で日本が一番充実しており、障害を持った子どもへの総合的な福祉施設として、世界的にも評価されています。

入所している児童は0歳から18歳くらいまでですが、20歳以上まで延長される場合もあります。

医療部門は整形外科、小児科などがあり、整形外科は診察や治療の他に手術療法、リハビリテーションのプログラム作成や装具の作成などをします。

小児科では乳児の発達障害の早期診断、早期治療を目指しています。

これらと連携して、子どもの社会生活への適応性を高めるためにリハビリテーション科があります。

それらは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士がその専門的知識を持って対処します。

教育に関しては、一人ひとりに合わせた内容に従って指導していきます。

社会生活への適応を養うための指導や支援をも行なわれ、集団生活を通して学んでいくのです。

この施設には、自宅から通ってくる子どももいます。

障害を持っている子どもやその家族にとって、不安と負担を軽減する役割を担っています。

このようにこの施設は医療と療育を機能的に総合させているのです。

●医療、リハビリテーション、保育など、さまざまな人が働いています。

子どもの保健医療を受け持つのは医師や看護師で、外科的手術から診断、リハビリテーションのプログラム作成まで行い、施設の中心的な職員となります。

高度な医療を必要とする子こどもいるので、高い専門性が必要です。

また、肢体不自由児施設では、社会への適応と自活できる力を養うことを掲げており、リハビリテーションは非常に重要です。

これを支えるのが理学療法士、作業療法士、言語聴覚士です。

それらの職員は医師と連携して、子どもに合わせた訓練を行ないます。

理学療法士は運動発達を中心に子どもの持つ能力を引き出します。

作業療法士は生活していくうえで必要な技能習得の援助や指導が仕事です。

言語療法士は、言葉の発達が遅い子どものコミュニケーション力を育てていきます。

病棟保育、母子保育などで活躍するのが保育士です。

入所している子どもを保育し、そして保護者には子どもとの遊び方をレクチャーしたりします。

また、栄養士と調理師は、障害を持つ子どもに合った食事を提供しなければなりません。

ですから、創意工夫を重ねて、おいしく楽しい食事をつくることに力を入れています。

●これからも障害を持った子どもの大切な受け皿となるでしょう。

全国に56ヵ所ある肢体不自由児施設は歴史ある施設です。

この施設で培われたノウハウは福祉施設全般に影響与え、また、リハビリテーションという言葉を日本に定着させた歴史ある施設でもあります。

2006年10月から全面施行になった「障害者自立支援法」によって、肢体不自由児施設も新サービス体系への移行が始まり、新たな局面を迎えています。

子どもの障害は重度重複化、多様化してきています。

また、障害を持っているため親からの虐待を受けたケースや障害を持った子どもを経済的な理由でできない家庭などへの柔軟な対応が必要になっています。

これからも障害を持った子どもたちの重要な受け皿になるでしょう。




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