栄養士・管理栄養士

福祉・介護の資格ガイド

●仕事の内容について

栄養士とは、病院や福祉施設、学校、企業の社員食堂などで、栄養学に基づいて、栄養バランスの取れたメニュー(献立)の作成や調理方法の改善を提案したりする職業です。

また、栄養面から健康な食生活のアドバイザーも行ないます。

これを“栄養指導”といいます。

栄養士は指定の養成施設を卒業後、都道府県知事に申請すれば、資格を取得することができます。

一方、管理栄養士とは、栄養士のワンランク上の資格です。

管理栄養士の資格を得るには栄養士として十分経験を積んだのちに、国家試験を受けます。

栄養士や管理栄養士は、病院や福祉施設、さらに自宅で療養している人のために、家族や主治医と話し合いながら、病状や体質を十分に考慮して栄養指導を行ないます。

その他にも、病院や福祉施設の調理員と話し合いながら、給食メニューを考えたり、給食の方法についても計画したりと、食事についての全般的な仕事をします。

特に福祉施設では、高齢で食べ物を飲み込む機能が衰えた人や、寝たままで食事をしなくてはならないという人や身体の機能に障害を持つ人などや、小さな赤ちゃんなど、いろいろな人が暮らす施設があります。

そのようなさまざまな人のための食事を考えなければならないため、利用者の身体の状況、栄養状態、利用の状況などに応じた特別の配慮をして、高度の専門的知識および技術によって、食べ物の種類やメニュー食べ方の工夫などをして、楽しく、おいしく毎日の食事をとってもらうことが大切になります。

●職場の状況について

日本では毎年約18,000人が栄養士免許を手にしますが、このうち、約50%の人が栄養士として就職します。

◎医療関係では、病院や診療所の患者さんの個々に合った栄養管理・食事管理を医療分野でチームの一員として、医師や他医療職の方々とともに、医療における栄養の専門家としての、高度な知識や技術が求められています。

◎福祉関係では乳幼児、高齢者、障害者を対象とした福祉施設に勤務し、栄養管理と給食管理を行っています。介護保険施設では、介護保険法において常勤の管理栄養士が配置され、個々の入所者の栄養状態を適切にアセスメントし、その状態に応じて多職種協働により栄養ケアマネジメントを実施することが求められています。また、個人差の大きい障害者においても、障害者自立支援法において同様な栄養ケアマネジメントが必要になっています。児童施設では、心の健康と食という観点から、食育の大切さが再認識されています。

◎教育関係では、小・中学校(特別支援学校を含む)および夜間定時制高校に勤務し、“学校給食の管理”を行なうとともに、子どもたちへの食に関する指導を行っています。また、国・都道府県・市町村の教育委員会に勤務し、学校給食に関する行政指導を行っています。

◎各種福利厚生関係では、事業所、寮などの産業給食施設や企業の健康管理部門などに勤務し、給食管理や栄養管理を通して、日本を支える産業界で働く人の健康管理を行っています。また、学生食堂や学生寮、スポーツ施設、フィットネスクラブなどに勤務し、給食管理や栄養指導を行っています。

◎行政関係では、道府県の保健所や市町村保健センターに勤務し、地域の実情に合わせた都道府県計画や市町村計画の策定に参画し、その実現に向けた行動計画に沿って、健康教育・栄養相談、食環境整備などの公衆栄養活動や、また、「食事バランスガイド」や「エクササイズガイド2006」を活用して、地域住民が健康づくりをもっと身近で手軽なものに考えてもらえるよう普及啓発するのも役割の一つです。

◎研究・教育関係では、研究機関、大学、企業の研究室に勤務し、調査、実験、品質管理、商品開発等を行っています。また、管理栄養士・栄養士養成施設に勤務し、栄養教育論、臨床栄養学、公衆栄養学、給食経営管理等の教育を行ったり、調理師、介護福祉士、看護師等の養成機関に勤務し、栄養学、食品学の教育を行っています。栄養と食生活の専門職を育てることを目標とした教育研究活動を行っています。

◎その他の施設では、自衛隊や防衛大学校、防衛医科大学校などの施設に勤務し、平常時、訓練時、災害出動時、PKO、移動時など、多岐にわたる給食の管理や栄養指導を通じて、隊員の健康維持増進に寄与しています。また、矯正施設では、刑務所、拘置所、少年院などに勤務し、法規に基づいて給食管理を行い、栄養改善や被収容者への思いやり、潤いのある給食を実施しています。その他では料理研究家として活躍している人もいます。

●雇用形態と初任給について

病院などの医療施設に常勤として勤務する場合の初任給は、およそ18万円です。

基本的には、どの職場でもほとんどが、夜勤はなく昼間の勤務です。

福祉施設では、1ヵ所の施設のみを担当するケースもありますが、複数の施設を掛け持ちする場合もあります。

●この資格の将来性について

栄養士・管理栄養士は、さまざまな分野や場所で広く活躍しています。

近年問題になっている生活習慣病や食物アレルギー、拒食症などは、食事との関係が強い病気です。

こうした病気が増加しているため、食生活のあり方が見直されるようになってきました。

そこで「食育」という言葉が生まれました。

これは生きるための基本であり“食”を教育としてとらえて考えようというものです。

この食育の重要性が広く知られるようになったため、小学生からの食育の充実に対し、さらなる期待に応えるため、現在、「栄養教諭」と協力したり、資格を取得し、それにふさわしい資質向上が求められています。

食育基本法でも、学校給食を活用した食育、学校給食での地場産野菜の利用促進、自校式給食の増加といったことをうたっています。

福祉施設などでも、栄養カウンセリングを行って栄養指導をしようというニーズが年々高まっています。

さらに、健康への関心が高まるなか、スポーツドリンクや健康食品などの開発の面でも、栄養士・管理栄養士の仕事は、今後ますます重要になっていくでしょう。

●栄養士・管理栄養士になるためには?

◎栄養士/厚生労働大臣の指定した栄養士の養成施設で、2年以上学び、そこで栄養士のとして必要な知識や技能を習得し卒業した後、住んでいる地域の都道府県知事に栄養士免許を申請すれば取得できます。

◎管理栄養士/まず、栄養士の資格を取得し、それから管理栄養士の国家試験に合格しなければなりません。

◎管理栄養士試験の受験資格/①4年制管理栄養士養成施設の大学・専門学校で指定科目を履修し卒業後、栄養士を取得した者②4年制栄養士養成施設の大学・専門学校で指定科目を履修し卒業後、栄養士を取得し、実務経験1年以上の経験者③3年制栄養士養成施設の短大・専門学校で指定科目を履修し卒業後、栄養士を取得し、実務経験2年以上の経験者④2年制栄養士養成施設の短大・専門学校で指定科目を履修し卒業後、栄養士を取得し、実務経験3年以上の経験者

◎管理栄養士試験の試験科目/①社会・環境と健康②人体の構造と機能および疾病の成り立ち③食べ物と健康④基礎栄養学⑤応用栄養学⑥栄養教育論⑦臨床栄養学⑧公衆栄養学⑨給食経営管理論

■試験データ/○申し込み期間:例年1月上旬~中旬○試験日:例年3月下旬○試験会場:北海道、宮城、東京、愛知、大阪、岡山、福岡および沖縄〇受験手数料:6,800円(収入印紙、2012年)

■問い合わせ先/□試験について:管理栄養士国家試験臨時事務所 〒103-0027 東京都中央区日本橋 1-20-5  TEL:03-5200-5862 □資格について:社団法人 全国栄養士養成施設協会 〒170-0004 東京都豊島区北大塚1-16-6 大塚ビル608号  TEL:03-3918-1022  URL: http://www.eiyo.or.jp/




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